この世の地獄感

そういえば、二〇一七年の四月、市役所で国民健康保険への加入手続きをしていたとき、七〇歳くらいの男が、大声でわめき散らしていた。年金だろうか役所で手続きをすれば、何らかのかたちで得ることのできるはずの金が支給されていない、そのことに怒ってい…

大森靖子の歌について

大森靖子の「TOKYO BLACK HALL」は、二〇一六年三月に発売されたアルバムに収録されている。この曲を聴いていて印象的なのは、「地獄、地獄、見晴らしのよい地獄」のフレーズである。あきらかに、この世の空気感を素直にとらえて歌にしたら「地獄」の歌詞が…

未来学前史

科学技術が人間社会を変える。東が指摘するように、かつて日本では、未来学のもとで語られてきた展望。 小松左京の『未来の思想』(1967年)。『日本タイムトラベル』(1969年)。大阪万博(1970年)。この後、未来の思想は潰える。進歩主義の失墜。 東が述…

東浩紀のサイバースペース批判を今読み直す

東浩紀は、電子メディアがつくりだすものを「サイバースペース」というように空間的なものとして考えることに批判的である。 彼の問題関心は「サイバースペースの観念が、現実のメディア環境の変化を認めつつ、かつ同時に否認する一種の自己矛盾を抱えている…

マクルーハンとの違い

これまでにも、情報通信技術が新しい現実をつくりだすということは、しきりに議論されてきた。東浩紀が述べているように、電子メディアそのものが新しい空間世界をつくりだすと主張したのは、マーシャル・マクルーハンだった。電子メディアの延長上に「地球…

人間の条件と『第四の革命』から

ハンナ・アーレントは、人間を、条件づけられた存在と考えた。それはつまり、人間は自分がつくりだした人工物により条件づけられることではじめて生活できる、ということである。「この生活は必ず、人びとと人工物の世界に根ざしており、その世界を棄て去る…